イオンフィナンシャルサービス

気候変動等への対応

気候変動等への対応(TCFD提言を踏まえた取り組み)

 気候変動に伴う自然災害や異常気象の増加等により、当社グループ各社の営業拠点や通信システム等が物理的被害を受け、事業運営が影響を受ける可能性があります。2016年にパリ協定が発効し、2021年には国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において世界の平均気温上昇を産業革命前と比べて1.5℃以内に抑える努力を追求する「グラスゴー気候合意」が採択されました。長期目標が定められた結果、各国では温室効果ガス排出削減の国別目標を国連に提出し、対策を進めています。日本政府も脱炭素社会の実現を目指す2050年カーボンニュートラルを宣言し、再生可能エネルギー強化を中心とした各種施策を推進しています。
 イオングループでは、地球環境および人間社会に大きな影響をもたらす気候変動の問題に早くから取り組み、2040年を目途に店舗で排出するCO2等を総量でゼロにすることを目指す「イオン脱炭素ビジョン」を掲げています。
 当社は、2021年11月、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)へ賛同を表明するとともに、マテリアリティで特定した「気候変動等への対応」の方針を明確化しています。

ガバナンス


 当社は、サステナビリティ経営により企業価値の最大化を図ることを目的に取締役会からの委嘱を受けてサステナビリティ委員会を設置しています。
取締役会は、当社の企業価値向上を目指し、機動性を重視するとともに、迅速かつ適正な意思決定を行います。「サステナビリティ基本方針」の決定及び改定、並びに中長期及び年度活動計画の決定等、気候変動への対応を含むサステナビリティに係る重要事項については、サステナビリティ委員会における審議を経た上で取締役会決議事項としています。取締役会は、サステナビリティに関する重要事項について、関係者に必要な指導・助言を与えています。
 サステナビリティ委員会は社会的観点から当社グループの重要課題(マテリアリティ)に対してガバナンスを効かせ、企業としてのサステナビリティに関する戦略・方針を決定します。また、具体的な目標や施策に係る実行計画について、検討・審議を行うとともに、実行計画に基づき、当社グループによる取り組みやその進捗状況に関する継続的なモニタリング、フォローアップ(指導・助言)を行います。さらに、全社横断で課題へ対応するため、当社各部門並びに当社グループ各社を指導し、施策の実行を統括・支援するとともに、サステナビリティに関する事項を総合的・専門的に協議・検討します。また、サステナビリティ委員会は取締役会からの委嘱事項について、取締役会に報告を行っています。
 実践に向けた具体的な目標や施策に係る実行計画について、グループ一体となって推進するため、サステナビリティ委員会下にサステナビリティ部会を設置しています。ビジネスモデルの転換により事業活動を通じた資源の有効活用を進めるとともに、当社グループの提供する商品やサービスを通じ、お客さまや地域コミュニティと一体となって脱炭素化に取り組んでまいります。また、当社グループ従業員一人ひとりの環境保全意識を高め、主体性の発揮を促進してまいります。

サステナビリティ推進体制

サステナビリティ執行体制

戦略


 当社グループは、誰もが心豊かで幸せに暮らせる持続可能な社会の実現、平和に貢献することを目指し、サステナビリティ経営を推進しています。その実現に向け、2021年11月、中長期的に当社事業に影響を及ぼす重要な社会課題(マテリアリティ)を特定しています。マテリアリティは「革新的な金融サービスを通じた幸せの追求」「人材の多様性と可能性の発揮」「レジリエントな経営基盤の確立」「気候変動等への対応」の4つの分野に体系的に分類することで課題を明確化するとともに、これらの解決に向けた指標とロードマップを設定し、具体的に推進しています。中でも「気候変動等への対応」については、お客さまの生活や健康、地域経済並びに社会の発展に多大な影響を及ぼすことを認識し、脱炭素社会の構築に向けたガバナンスや戦略、目標設定を通じた強靭性確保に努めています。
 まずは、気候変動関連リスクのマネジメントの一環として、気候変動がもたらす当社グループ事業への影響評価を目的とした、「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」の2つのシナリオによる気候変動関連リスク・機会のシナリオ分析を行っています。具体的には、気候変動に由来する中長期的なリスク項目を移行リスクと物理的リスクおよび機会に整理し、各項目の当社グループへの影響を評価し、影響が大きいと考えられるものを「重大リスク/機会項目」としています。その後、各項目をその影響が及ぶと考えられる時間軸別に短期・中期・長期の枠組みで整理しています。

気候変動に伴う重大リスクと機会項目と影響レベル

大分類 中分類 小分類 影響 時間軸 1.5℃
シナリオ
4℃
シナリオ
移行リスク 政策・法規制 炭素税の導入 炭素税による増税 短~長期
市場 再エネ価格上昇 再エネ調達によるエネルギーコストの増加 短~長期
物理的リスク 急性 台風や洪水などの自然災害の苛烈化 インフラや施設・設備への被害これに伴うコスト増大、事業展開地域における債権回収リスク増大、保険料の増加、保険商品提供可能性の低下 中~長期
慢性 平均気温上昇、海水面上昇
機会 エネルギー 炭素税導入 GHG排出量削減による炭素税導入の影響低減
(例:リサイクルPVC素材を活用したイオンカードの発行、エネルギー効率の良いビルへ事務所移転)
短~長期
製品・サービス 気候変動に関連する商品への需要増加 新商品開発・販売による収益増(例:脱炭素型住宅(ZEH)の住宅ローンと電気自動車(EV)のマイカーローンのセット商品) 中~長期

リスク管理


 当社グループでは、気候変動を含む多様なリスクについてリスクカテゴリーごとに評価し、経営体力と比較対照しながら適切に管理することにより、経営の健全性を維持することを目的としてリスク管理の高度化を進めています。この中で「リスク特定・評価」「コントロールの評価」「リスク評価」からなる一連のリスクマネジメントプロセスを構築しています。
 気候変動リスク管理においては、「1.5℃シナリオ」と「4℃シナリオ」といった複数の将来予測シナリオを用いてそれぞれについて分析を行い、当社グループに影響を及ぼす気候変動関連リスクと機会を特定・評価しています。特定したリスク項目と機会項目を当社グループの事業計画に反映させるべく、サステナビリティ委員会の指示・監督のもと、サステナビリティ部会における議論を通じて事業部門への潜在的な影響の規模や範囲を評価することとしています。

指標と目標

 当社グループでは、気候変動関連のリスクおよび機会を評価・管理するために温室効果ガス(GHG) 排出量の測定・把握を行っています。今後は、世界全体のGHG削減に貢献するべく、事業活動に伴う環境負荷の適切な削減目標と指標を設定を行ってまいります。

① 当社グループにおける主な気候関連の指標

指標 2020年度実績 2021年度実績 2022年度実績 2023年度実績 前年差
グループ全体のGHG排出量(scope1、2) 15,828トン 16,373トン 14,455トン 12,059トン △2,395トン
営業車に占めるハイブリッド自動車台数の割合 49.29% 43.90% 53.11% 34.04% △19.06%
クレジットカード利用明細書 Web明細比率 国内 79.00% 83.97% 85.12% 85.92% 0.81%
海外 64.69% 89.29% 24.60%
全体 79.00% 83.97% 78.48% 87.03% 8.54%

② 当社グループにおける温室効果ガス(GHG)排出量
(Scope1、2)

指標 2020年度実績 2021年度実績 2022年度実績 2023年度実績 前年差
Scope1 (燃料消費による直接的排出) 2,598トン 3,332トン 2,783トン 2,548トン △235トン
Scope2 (電気使用による間接的排出) 13,230トン 10,786トン 9,377トン 8,072トン △1,305トン
Scope1、2合計 15,828トン 14,118トン 12,160トン 10,620トン △1,540トン

(Scope3)

指標 2020年度実績 2021年度実績 2022年度実績 2023年度実績 前年差
クレジットカード紙明細書による排出 国内 15,695トン 12,037トン 11,421トン 11,182トン △239トン
海外 13,043トン 4,129トン △8,914トン
全体 15,695トン 12,037トン 24,464トン 15,311トン △9,153トン
プリンター使用に係る排出 (上流・下流) 400トン 287トン 370トン 239トン △132トン
データセンターの運営・維持に係る排出 ※ 4,703トン 4,794トン 4,534トン 4,729トン 195トン

・当社グループでは、GHG排出量をGHGプロトコルのメソドロジーに則り計算しています。
※ 集計対象は下記グループ会社です。

※以外の集計対象は下記グループ会社です。

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